Black & White Landscape Photography白黒風景写真の撮影-構図理論

Black & White Landscape PhotographyAmherst Mediaより1999に出版した写真撮影の啓蒙本で、著者はJohn P. CollettとDavid Collettです。
 白黒写真関係の内容より構図についての記述は大変参考になります。ここで、興味のある部分をピックアップして訳してみました。特に視覚の仕組みにや構図の要素および視覚に対する働き(その中で邪魔スポット)などはとても参考になります。
 原文よりより理解を深められるかと思います。何しろ、母国語で読んでいないと、どうしても頭に入りにくいことは大いにありまして、逆に母国語ですと、すんなりと入ることは多いです。特にこの本の構図理論は長編にわたって記述されたので、理解・消化するのにはエネルギーが要ります。
 他の著者の構図理論、また参考リンクにある入門的な講座と合わせて比較・吟味すれば、写真撮影はもっと楽しくなり、より自信を持てるようにれば幸いです。
 とりあえず、3.1まで訳してみました。

"The Photographer transforms haphazard elements into a controlled, ordered work"

第三章 構図-Composition techniques

創造と統制(Creation and Control)
構図は異なる要素を組織化・統制すし、統一された構造を実現することです。構図はある景色にある要素を適当に整理するのではありません。写真家は、芸術的(Fine Art)な風景写真はでたらめの要素を統制された、整然とした作品に変えられます。他の芸術家と同じように、どの要素を取り入れ、どの位置に配置かをよく吟味してから決めます。その対象は線、形、テクスチャ(質感)、模様、ピント合わせ位置、ハイライト(明るい部分)、影と視点などです。統一された構図は景色にある様々な要素は一つ共通の概念を形成します。

視覚の仕組み (How the Eye Sees)
 鑑賞者の目と心理がどのように写真を「見る」と「組織化する」かについて理解するのは、もっとも明瞭で簡潔な構図を構成するに役立ちます。
 人間の目がはっきりと見える範囲(つまり視角)はたったの3度で、実に狭いです。その証明は8X10の写真を約30cmの距離に置き、その中にある一点に注目してみることでできます。着目点のすぐ隣でもピントがボケしていることは分かるはずです。周辺視覚では近辺の文字や形を認識することができても、それらに視点を移さない限り、はっきりと見ることができません。視野が狭いため、人間は一枚の写真を少しずつ走査(Scan)していきます。その走査は、左から右、上から下というような方向ではありません。頭の中で景色を定義し、分類し、整理し、最後に解釈しようとしながら、視線は一見適当に写真を見廻って行きます。しかし、本当は目の動きは「適当」ではなく、構図に大きく左右されます。一般的には、視線は真っ先に強烈な対照や、形、質感のある部分に移動します。また、視線は、いつも線要素を端から端まで追います。

構図の要素(Compositional Elements)
 構図のもっとも重要な要素視覚(visual)、視点(viewpoint)、照明(lighting)、色調(tonality)、対比(contrast)、焦点(focus)と全体の設計(overall design)です。

3.1 視覚要素:形(Visual Elements :Shapes)

形の補完(Completion of Shapes)
 形は完全であれば、鑑賞者は落ち着いて考えられるようになり、写真の詳細に集中できる。一方、ある物体がフレームで切られるか、他のものに遮られると、鑑賞者はそれを自動的に補完しようとする。それで、より動的で、解放的な写真得られ、フレーム境界の制限取り除いて、より大きな仮想空間を形成できる。
 人間の視覚はまず完全な形に着目します。その次に、不完全なものに移り、且つ欠落の部分を補完しようとする。大概の場合、完全な形は視覚の中心となり、不完全なものは補助的な(secondary or supportive)存在となる。

支配、補完と背景形状(Dominant,Supporting, and Background Shapes)
 断片的な要素・形は完全なものより抽象的(abstract)で、動的(dynamic)である。結果的に鑑賞者への挑戦状となり、多次元の解釈を誘える・引き出せる。
 支配的な形、スポットともよばれ、視覚的にも他のものより目立つ。一般的に、背景と対照的で完全な形は支配的でもある。他の形は、主題(Theme)に合えば、補完的である。

円形(Circles)
 円形の物体はうららかさ(serenity)と完成(completion)を描写してくれる。円形は視線を吸いつけて、その詳細の究明を誘う。たとえ一部が欠落しても、人間は容易にそれを完成させる。円形は視覚に強烈な重み(visual weight)がある。
 円形は長方形のフレームとは異質的なものであり、そのギャップによって、円形は視覚に動きと重みを与える。円形自身にはリズムを持たず、動きを暗示することはないが、長方形のフレームとの共存はそれらの効果をもたらす。円形の一部が欠落している場合、その効果は一層強い。円形は四角いの穴にある杭であり、視覚の注意力を求める。

正方形(Squares)
 正方形は円形と同様で基本的に長方形のフレームと異質的なものです。その完璧な対称性は視覚に安らぎを与える。また、円形と同様に、正方形は視覚の支えであり、重みと永続性(permanence)を与える。しかし、両者の簡潔さと対称性は静的で単調でもあります。対照的な形やテクスチャ、あるいは色調を加えることで、視覚的に面白くしたり、動きをもたらしたりできます。

長方形(Rectangles)
 間違いなく現代社会の最も普遍的の形です。写真、絵画、ビリヤード・テーブル、本、手紙、家、車、人間の外形までも長方形です。実質、山岳、木、滝、水平線と柵などは全て長方形を暗示します。余りにも普通過ぎて、殆どの人は気にすることもあまりないです。長方形内にある詳細だけは興味対象になります。逆に、それ以外の形は人間の目により付きやすいです。

三角形(Triangles)
 三角形は最も動的な構図形状です。円形と同様で、写真の長方形の外形と異質なもので、動きと不安定を暗示します。
 三角形はその一つ或いは複数の頂点に沿った動きを示します。どの頂点かは三角形の向きと実物体によります。一つの辺は写真枠の一辺と並行する場合、その反対の頂点は写真の動き或いは流れの全体方向を示す。人の目は山の側面かや頂点へ、更に空へ導かれます。水平の雲は視線を写真枠内留めてくれます。

不規則形状(Irregular Forms)
 風景写真にある細かい輪郭線は不規則です。木の輪郭線は更に不規則です。しかし、写真全体を見渡す時に、不規則の枝は円形に近い形ん形成し、個々の枝は円形に豊富なテクスチャをもたらします。自分の写真にある全体的な形を見つける練習をしましょう。このような形は通常上記のような基本形状になります。もし完全に不規則形であれば。非常に動的な主題になります。

邪魔(distraction)スポット
 鑑賞者の興味と注意力とを引き、吸い付ける力を持つスポットは写真に不利な働きをする場合があります。主題(例えば独立した山頂、一枚の葉っぱ)がメインの形であれば写真は力強くなります。鑑賞者の注意主題にを引き付けられます。しかし、もう一つのスポットが存在すると(気を散らすという意味で)邪魔ものになってしまいます。
 その邪魔スポットは主題性或いは異質性とあります。主題性スポットはシーンを構成する一部であり、主題全体のテーマ、雰囲気と性質に関連性を持ちます。例えば、ある山の前景にある岩はシーンの性質と一致します。その岩は背景と余りにも対照的で、主題から注意力を奪ってしまうようでたあれば、邪魔ものになってしまいます。
 複数の邪魔ものがある場合背景との対照は和らげられます。現場では、照明の変化或いは影の移動を待つことで、邪魔ものの顕著性(prominence)を下げられることはあります。
 一方、異質なスポットいつも邪魔ものになります。そもそも主題と異なる物体は同じ写真にあってはなりません。主題と競り合うことになるからです。レンズのフレアや飛行機雲、完璧であるはずの風景にある破片、上方隅の方にある枝の先端などはその異質邪魔スポットの例です。

複数形状(Multiple Shapes)
 本来の目的によらず、支配的な形が複数個あると、視線はそれらの形の間で彷徨ってしまいます。形間の距離が遠いほど、その効果はより顕著です。それらの形は類似しているか主題に関連するか、且つ主題の一部を構成するならば、相互作用と動きが付け加えられます。
 一方、一つの形状だけは主題であれば、ほかの形状は邪魔ででしゃばりになってしまいます。繰り返しますが、鍵は簡素さ(Simplicity)です。主題、一つだけ、を決めることです。鑑賞者にどの形状に着目してほしいですか。視点を調整して、主題を中心とし、よく定義された構図を成し遂げましょう。
 形状の繰り返しは写真(の主題)を強化することができます。無論、前提はその繰り返しが主題を強められることです。もしサイズや色調、質感あるいは向きにバラエティがあれば、その効果は一層強くなります。注意して程よく使えば、繰り返しはもともと静的な写真に動きをもたらすことができます。

視覚的な線と形状(Visual Lines and Shapes)
 写真に三つ以上の支配形状(スポット)があると、人間はそれらで視覚的な線あるいは形状を作りたがります。支配形状は形やサイズ、乃至主題が異なってもよいです。人間は頭の中で、一つ一つの「点」を結んで、分かりやすい形状を作ろうとします。この自動過程は写真に有利な時もあれば、不利な時もあります。
 架空の線が形成されれば、見はそれに沿って行ったり来たりします。この線は写真に動きを与えて、物体間に結合力が生まれます。主題には同じ方向に動きを持っていれば、それで強化されることになります。同様に、三つ以上のスポットは一つの形を構成することができます。たとえば、共線性のない(一直線上にない)3点は一つの三角形を暗示します。サイズ、位置と向きにより、この架空三角形は一つの頂点に沿った動きを暗示します。その動きはメインの視点(ピントが合わせられる箇所)に向かっていれば、あるいは主題にある同じ方向の流れを補強できれば、構図を強化することができます。
 もう一つ注意しかねればいけないのは、どの線と形状でも、架空のものを含めて、一枚の写真を複数の形状に分割します。架空線の角度により、二つの長方形か二つの三角形、あるいは台形に分かれることがあります。この分割はもともと意図されたとも限りません。
 少ない分断で類似形状をグループ化するのは、連続した動きの創出に重要な方法です。目に線と形状を完成させるには、形状が類似し、互いにある程度接近し、連続した形状を構成する必要があります。
 架空線と形状は力強く、視線を物体から物体へと導くか、一つの支配形状を形成するかに役立ちます。架空線と形状をうまく操れられれば、写真の構図、構造と重要性を強めることができます。

参考リンク
プロカメラマンの写真講座-初心者から上級者まで表現をもっと豊かに!(構図関連は「構図とフレーミング バックを選ぶ」)
構図の決め方-初心者を対象とした、とても簡単な風景写真の撮影講座です。
構図も上手くなる、写真で脳トレ!AllAboutにある写真撮影の基礎知識
構図のお話し Composition
Composition-Guide to Better Pictures。Kodakによる構図理論。関心の的を際立たせる。最適なカメラ アングルを使う。接近する。線を使ってで関心を引き、構図を調和させる。背景に注意。フレームで写真を撮る。アクション写真。望遠レンズのアクション写真。よい写真を撮るためのガイド
素晴らしい写真へのアドバイス-トップ10。Kodakによる写真撮影講座。要点は10か条:被写体の目線で見よう。プレーンな背景を使って下さい。屋外でもフラッシュを使いましょう。被写体に接近しよう。主役を真中からはずそう。焦点をロックします。フラッシュの届く範囲を知ってください。光をよく見よう。タテフレームの写真に挑戦。撮影ディレクターになった気持ちで。
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