The ABC of photography 写真撮影のABC

 たまにしか写真を撮らない、あるいは写真を撮ってもいつもスマホかコンデジの全自動モードでしか撮らない方は沢山いらっしゃいます。素晴らしい写真作品を見ても、どこがどういいのかあまり分りませんし、逆に自分が撮ったものがどこが改善すべきかも分かりません。

 よく聞くのは、
  • 写真のことは分からないので、何も考えずに適当に撮っている
  • 機械に弱いので、カメラをいじるのは難しくてよく分からない
  • 写真理論は難しくてよく分からない
  • 絞り、シャッター速度、ISO、露出(補正)は何のことかさっぱり理解できない

 確かに、写真撮影の入門本は沢山あります。しかし、教科書的な構成が多くて、よく読んで、吟味して、実践しないとなかなか理解しにくいものも多いです。

 ここでは、まず写真としての一番基本的で、見る立場から分かりやすい要素から、写真撮影の知識を整理していきます。それから、それを中心に、関係する撮影用語や理論を展開していきます。

 すでに分かっていると思う部分は飛ばして続きを読んでいただいて結構です。どこから読んでいただいても分かりやすい内容です。

1.入門編

1.1いい写真の基本

まず、カメラに関する用語や、写真理論などを忘れて、単純に写真を見る立場から考えて見ましょう。

 ぱっと見「いいなあ~!」と思われる写真はほぼ百パーセントは以下の特徴があります。
  • 被写体がはっきり(くっきり)見える
  • 見やすい
当たり前のようですが、どのようなプロでもきちんと守っている基本中の基本です。抽象的な作品や、特殊な目的以外においおいては、絶対守らなければいけないものでもあります。

 被写体がはっきり見えると、日ごろ目で見る景色とほぼ同じ感覚で、違和感もなければ、見やすいです。被写体がはっきり見えるようにするために、「焦点」をきちんと被写体に合わせなければいけません。

 見やすい写真は、被写体が程よい明るさを持ち、暗いところでも明るいところでも楽に分かります。写真全体を見やすくするためには、適切な「露出」(本節後半を参照)をしなければいけません。

 焦点は「ピント」ともよく言います。写真に一番「くっきり」写ってある箇所は、焦点が一番合っているところです。

ピントが合っている例
ピントあわせが失敗すると、写真全体ボケて見えて、くっきりしたところはどこにもないか、肝心な被写体がボケて見えます。これは俗にいく「ピンぼけ」です。

ピンボケの例;焦点は
ピンボケの最大要因は、カメラ自身(誤動作か誤操作)によるもの、手振れと被写体の動きです。

 露出とは撮像素子に光を当てることです[3]。どんなカメラであっても、自動でも手動であっても、最終的に露出の量は「絞り」と「シャッター速度」を設定することによって制御します。「絞り」と「シャッター速度」はカメラに関する話ですので、これからの章に譲ることにします。

 露出が失敗失敗すると、被写体が暗すぎる(俗に言う「アンダー」)か明るすぎ「俗に言う「オーバー」て、詳細を確認しづらくなったり、まったく判別できなくなったりします。

 場合によっては、明るいところだけはしろぽくなり、詳細をほとんど分からなくなります。これは俗に言う「白飛び」です。その逆は俗に言う「黒つぶれ」です。いずれの場合とも、「コントラスト」が強すぎるとも言います。

 写真撮影者が行うほとんどすべての努力はこの「焦点」と「露出」をよくするためのものです。

 つまり、自分のレベルがどこまで上がっていっても、この「焦点」と「露出」を忘れてはいけません。

 「焦点」と「露出」はいい写真を撮影するために避けては通れないものです。

 参考リンク[1]の「ピントって何だろう?」は基本定義、語源、「被写界深さ」との関係などについて分かりやすく説明しています。

1.2 焦点について

パンフォーカス

カメラからの距離と関係なしに、すべてのものがくっきり写っている写真は「パンフォーカス」写真とも言います。被写体全体を同じように綺麗に再現したいときによく使われる手法です。

後ろボケ

ポートレートや花の写真でよく見られるのは、被写体(人あるいは人物)の後ろにあるものがぼやけて見えるものです。その後方景色がぼやけて見えるのは「後ろボケ」と言います。主たる被写体を引き立たせるための手法です。そのボケ具合は、主の被写体から離れるほど大きく、よりもやもやと見えます。人間の視力で言うと、近視の人で裸眼で遠方のものを見る時とほぼ同じです(乱視が入っているとさらに複雑はボケが発生するが)。

前ボケ

Wikipediaによると、「被写体の手前にある物体をぼかす表現方法。遠近感の強調や花畑や人ごみの群生・密集感を表現したり、ソフトフォーカスの様な柔らかい雰囲気を演出する表現に用いられる。」

前と後ろボケのある写真例

1.3 露出について

適正露出
明るい被写体でも暗い被写体でも適正な明るさを持っていれば、その写真は「適正露出」で撮影されたと言えます。[3]

適正露出の写真例

ハイキー写真
実際のシーンより全体的に明るく仕上げた写真のことです。
カメラ用語辞典によると、「ハイキーは明るい作品をイメージ・意図して露出をプラスに補正するのでその観点から意味が違ってきます。もっと言えば露出オーバーは発生した白とびなどが作品の質を損ね、ハイキーは白とびが発生していてもそれが作品にプラスに作用する。」[2]

ローキー写真



1.4 コントラスト

参考リンク

[1] 第4 回目 「ピント」って何だろう ?
[2] カメラ用語辞典 > ハイキー
[3] 露出(Nikon)

用語集

焦点:鏡・レンズなどで,光軸に平行な光線が反射あるいは屈折して集まる一点。また,そこから出た光線が鏡やレンズを通ったあと光軸に平行に進むような一点。(三省堂大辞林

露出:写真機で,シャッターを開いてフィルムや乾板に光を当てること。露光。 (三省堂大辞林

ピンボケ:写真で,ピントが合わず像がぼんやりしていること(三省堂大林)

コントラスト:絵画やテレビ・写真などの画像の,明暗の差や色彩の対比。(三省堂大林)

白飛び:日光の強い場所や白などの服など明るいものがあるところで、デジタルカメラで撮影した際に、明るい部分が白くなって諧調が失われる現象のこと。(三省堂大辞林


黒つぶれ:主にデジタルカメラの撮影において、明るい部分の階調の情報が得られず、黒一色に塗りつぶされた状態となることである。

IT用語辞典バイナリ

パン フォーカス:映画・テレビなどで,画面内の被写体全部に焦点があっている状態。また,そのように撮影する技法。

ボケ (写真):写真におけるボケ(ぼけ、英: Bokeh)とは、レンズの焦点(被写界深度)の範囲外に生みだされるボヤけた領域の美しさ、およびそれを意図的に利用する表現手法である。基本的に主たる被写体にはピントが合っていることが前提であり、ソフトフォーカスレンズの効果や、撮影の失敗により画像に焦点が合っていない「ピンボケ写真」とはまったく異なる概念である。この概念や手法は日本国外でもBokehと呼ばれている。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/05 06:11 UTC 版)

後ろボケ:背景をぼかすことで主となる被写体(主役)を引き立たせる手法である。ポートレートを始め、最も使われている手法といえる。(ウィキペディア

前ボケ:被写体の手前にある物体をぼかす表現方法。遠近感の強調や花畑や人ごみの群生・密集感を表現したり、ソフトフォーカスの様な柔らかい雰囲気を演出する表現に用いられる。(ウィキペディア

ハイキー:ハイキーとは全体的に明るい写真のことです。何を基準に全体的に明るいかと言うと、撮影現場の見た目の明るさを基準にします。そしてそれよりも明るくさわやかな印象を受ける写真をハイキーというのです。(カメラ用語辞典

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