All about Bokeh ボケのお話・種類・効果等

[5]によると、写真はピントが合っていることは、「理想的な写真レンズにおいてピントが合っていると言うことは、被写体の位置に点光源があると想定したとき、その点光源から放たれた光が、フィルム面ないしは撮像素子表面においてもただ一点にのみ収束するということである。」です。

ピントがずれているか、レンズにある種の誤差があるか、カメラの像面と平行し、ピントが合っている箇所を通る平面の前後のものはボケて写るようになります。それはいわゆるボケです。

1.ボケの種類

Olympusオフィシャルページによると、写真のボケは以下の3種類に分類できます。それを「ボケ味」とも言われます。
  • リングボケ(Ring Bokeh)
  • にじみのないボケSolid Bokeh
  • にじみのあるボケFeathered Bokeh
Sigma 50mm f/1.4 DG HSM Art + D500
f/1.4 1/800 ISO100
リングボケ二線ボケとも言われます。ボケの輪郭が強いリング状になって現れるものです。一般的には嫌われています。原理的には、レンズの同心円状の歪み渦巻き収差非点収差)によるものです。この渦巻き収差によって、点像がなだらかな像に写らなくて、棒状の物体が2本に分かれてしまうから、「二線ボケ」という呼ばれ方になったわけです。

にじみのあるボケはそうでないものより滑らかで、絞りの開放値が大きいほど得られやすいです。

二線ボケと関係するボケは玉ねぎボケ年輪ボケ、ソニーは輪線ボケ)があります。英語ではSwirly Bokeh、またCat’s Eye Effectと言います。渦巻くような円形状になるボケのことです。
Culminar 85mm/F2.8 + Fujifilm X-T1
 f/2.8  1/250  ISO 200
オールレンズで玉ねぎの達人と言えば、旧ソビエト製のHelios 40-2Helios 44 F2Helios Cyclops 85mm F1.2等を挙げられます[2]。玉ねぎボケを効果的に出すには、焦点を0.6 から1メートルほど先にするほどです。
Culminar 85mm/F2.8 + Fujifilm X-T1
[3] によると、「非球面レンズを多用したレンズでは、どうしても玉ボケタマネギになって汚いことが多い」です。ソニーのGレンズは玉ねぎボケを出し安いのはそのためでしょうか。

2.ボケとF値との関係

同じカメラとレンズの組み合わせであれば、絞りのF値が小さい(絞りがより開放になる)ほどボケが相対的に滑らかになります。

開放値の小さいレンズは明るいレンズだと言われ、暗めのレンズより値段が高いです。それは、取り込める光の量が大きいことによって、暗いところでも被写体がより綺麗に写るからです。暗くなくても、被写体の背景をぼかしたいときには、意図的に絞りを開放にして撮影します。そのために、絞りの開放値が小さいレンズが好まれます。
f/3.2 1/125 85mm ISO200
TAMRON SP 85mm F/1.8 Di VC USD + ソニーα77
等倍マクロレンズで前ボケ後ろボケを狙う

物理上の制限で、同じ焦点距離であっても、開放値の高いレンズほど、サイズも重さも大きくなります。それに各種の収差の消去も難しくなり、より複雑な構造と高価な材料が必要になります。結果的には、価格は暗めのレンズより指数的に増えてしまいます。価格と扱いの難しさなどにより、数はそんなに売れないので、市場価格はさらに高くなります。

3.ボケと撮影フォーマットとの関係

撮影フォーマット判型)、つまり撮像素子のサイズは大きいほど、ボケが大きくなります。

言い換えれば、同じ焦点距離で、同じ開放値のレンズであっても、同じ有効画素数のフルサイズのカメラとスマホのボケはまったく違います。そうです、くれくれもスマホメーカーに騙されないことです!
パナソニック LUMIX DMC-FZ1000
f/4 1/320 146mm ISO 125 (35mm 判換算400mm)
撮像素子は1型だから、400mm/F4でも、この程度しかボケない
覚えておきたいのは、下で述べる被写界深度は、センサーサイズと反比例です。美しいボケを得るには、同じ開放値のレンズであれば、撮像素子サイズの大きいものを使うに限ります。重さは気にしないならば、値段のことを考えれば、実はフルサイズやAPS-Cセンサー用のレンズを買った方が得します。

例えば、2017年12月27日現在、M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROは最安値でも119,800円です!それに対して、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4Gはその半分以下の48,479円です。カールツァイスPlanar T* 1.4/50 ZF.2は68,480円で、シグマ50mm F1.4 DG HSMは92,800円です。最後のシグマレンズは、同社の渾身の技術を詰め込んだArtシリーズで、絵作りに自信満々です。

4.ボケを得られる方法

Sigma Apo Macro 180mm F2.8 Ex Dg Os HSM + D500 + 1.4X
f/8 1/200 250mm ISO 2500
35mm換算で378mmの当倍マクロレンズ
長い焦点距離、明るい、近寄れるの三拍子がそろっている
ボケは以下の方法で効果的に得られます。
  • 絞りを大きく開ける(F値を小さくする)
  • 長い焦点距離のレンズを使う
  • 被写体に近寄る
  • 背景から(なるべく)遠く離れる被写体を選ぶ
1番目は光学的に昔から知られる現象です。つまり絞りを開ければ開けるほど、ピントの合っている平面から離れる物体がよりボケて写ることです。つまり、被写界深度が、絞りを開けるほど浅いことです。

2番目はやはり被写界深度との関係によるものです。つまり、焦点距離が長いほど、被写界深度が浅いことです。

3番目は、2番目の延長で、被写体に近寄るほど、背景は相対的に遠くなります。

4番目は、探すのは難しくなるが、どんな焦点距離のレンズにも効果抜群で一番簡単なアプローチです。

1/6.3 1/500 600mm ISO 1600
Tamron SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD + D800E
廉価版の超望遠レンズによるボケ

Canon SERENAR 50mmF1.8 + Sony NEX-7
ボケの応用例です。金属の網に囲まれる天狗さん。網によって、絞りを全開すれば、網自体はほぼ見てなくなりました。
Canon SERENAR 50mmF1.8 + Sony NEX-7

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