Photography Memo - ETTR and V-LogL写真理論メモ

これは、デジタルカメラだからの問題を改善するための技術および撮影のコツです。

まずETTRについてです。英語のExpose To The Rightの略です。カメラのモニターでヒストグラムを表示させて、その塊が右側ぎりぎり一杯寄せた状態で撮影することです。

次はV-LogLについてです。「Log ガンマ」は、センサーの未処理の輝度信号を保存する 1 つの手法であり、パナソニック社の製品にある「V-LogL」、Logガンマのモードです。

この両方とも、デジタル画像のトーンの記録を均等な情報量にするための工夫・技術です。ETTRはいわゆる裏技で、デジタル撮像センサーの(ノイズ特性の)弱点を避けるための「技」で、本当の均等を得られるわけでもなければ、微調整もあまり出来ません。

デジタル撮像センサーの弱点は、暗い画素に割り当てられる情報量(ビット数)は明るいものより少ないことです。しかも、明るさに対して、指数的に経ていきます。すべての電子デバイスには、「ノイズ」というものが付き物ですので、必要なものとされる「情報」の強さがその「ノイズ」のレベルに近づいていしまうと、「情報」の再現は不可能になってしまいます。つまり、撮像センサーにあるノイズは、被写体の暗部の一部であるかのように見えてきます。それを避けるためには、暗い暗い箇所をなるべく多い情報量を与えることです。ETTRとV-LogLはその情報量を増やすための方法です。

これ以上素人的に説明しても難しいので、参考リンク[1]にある文章をいかの引用させていただきます。
ETTR の基本的な考え方として、映像データの最も明るい部分が「クリップされない(切り 取られない)」範囲で、できる限り明るくなるように露出する。仕上がり映像の暗さは関係 なく、範囲内の最上値で露出すれば最もきれいでノイズの少ない映像が得られ、また、必 ず後処理で適正な露出値に戻すことができる。ETTR の愛用者は、ETTR を完璧なものにす るツールとしてヒストグラムを活用している。ヒストグラムは、あるシーンのすべての露 出レベルをプロットしたものである。もし、ヒストグラムの右端に使われていない空白が あれば、露出を上げる余地があるということだ(Expose To The Right、すなわちフレーム内 でグラフを右側にシフトさせる)。理論的には素晴らしいツールであり、実際、静止画像で は非常に役立っている。しかし、V-Log L カーブの特性により輝度が最大 80 IRE に制限さ れる V-Log L ではそれほどうまくいかない。真に「右端に」映像を移動させることはできな いのだ。それでも ETTR を使うことは可能だが、映像がクリップされると警告が出るよう に 80 IRE 以下の設定でゼブラを使いたいだろう。ゼブラを 80 IRE に設定すると、ゼブラパ ターンが表示されるまで自由に露出を上げることができる。表示が出た箇所は映像がクリ ップされており、露出を下げる必要があると考えられる。ただし、輝度でまだクリップさ れていなくても、高い露出値ではゼブラパターンが表示される前に個別のカラーチャネル でクリップが起こり始めている場合がある。その場合、少し露出を下げて(ゼブラの設定 を 75 IRE 以下にして)、彩度チャネルのクリップを最小限に抑えるために若干の余地を残す とよいだろう。

ETTR は一般的に有用な技法であり、悪くない妥当な選択肢である。しかし、中間調への影 響を考慮せずにハイライトを残す設計であることから、必ずしもベストな選択とはいえな い。多くのディテールを保持して最もノイズの少ない映像を得ることができるが、1 つ 1 つ のショットに対して撮影後の膨大な補正作業が必要となる。ETTR による露出では、単純に 各ショットのハイライトを基準にするため、シーンごとで肌のトーンが実際よりも明るく、 または暗く記録されてしまう場合がある。そのため、補正を加えることでムラのないちょ うどよいトーンに戻し、鮮明かつなめらかに挿し込む必要がある。また、あるシーンのハ イライトの明るさだけを基準にして ETTR を施すと、すべてのハイライトを把握、残そう とする結果、肌色と中間調が大幅に露出不足になる可能性がある。ハイライトには効果的 な処理だが、肌色と中間調はノイズが発生するかもしれない。後処理で、センサーの(ノ イズが多い)肌色の階調を暗部から拡げる必要性があると考えられる。一般に映画撮影で は、ハイライトよりも被写体がより重視される(そうあるべきである)。ハイライトに過度 に気を配ると、映像の他の要素で妥協を強いられかねない。映像制作では、厳密な「ETTR」 方式は必ずしも全体的に見てベストな結果になるとは限らないのだ。

参考リンク
1. V-Log L での撮影 (パナソニック社オフィシャルドキュメント)

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